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臨床精神医学研究所

日本の精神医学・医療の発展のために

 臨床精神医学研究所は、精神医学的な調査研究を行い、精神障害の原因および発症の要因を究明し、精神障害の予防と治療、さらに精神障害者の社会生活支援の方法を開発し、よって今後の精神医学・医療の発展に寄与することを目的に、2010年(平成24年)4月に設立されている。


豊郷臨床精神医学研究所設立趣意書

 今日ほど、精神医学に対する社会の期待が大きい時代は無いであろう。しかしながら、自殺や嗜癖の問題、青年の引きこもりや摂食障害、あるいは老人の認知症などについて、精神医学がその期待に充分応えているとは言い難い。むしろ、これらの病態に関するケアや治療に関する研究は遅々として進まず、その成果についてはなお乏しいことを認めざるを得ない。とりわけ、精神医学の中心的課題である内因性精神病においても、事態はほとんど同じである。確かに、近年の目覚しいテクノロジーの進展によって、画像研究や遺伝子研究などの生物学的研究が大きく進展したために、数年後には精神疾患の病因を含む総ての問題が解明されるであろうと考えられた時期も存在した。しかし、そのような期待は、今では、霧の中の白いウサギのように、まぼろしの如く消え去ってしまっている。
 我々は、大学などにおける最先端の技術を用いた大規模な研究の成果を今後もなお期待しているものの、現在の状況を冷静に見たとき、そのような研究とは若干趣を異にする、患者の顔が見える小規模な臨床研究の重要性を再認識しなければならないと思う。このような理由から、我々は、豊郷病院に臨床精神医学研究所を設置したいと考えている。すなわち、過去から現在に至るまで、緊密な人間関係が存在する田園地帯で、地域と密着した医療を行ってきた豊郷病院は、臨床研究を行うには絶好のフィールドであり、豊郷病院が歩んできた過去50年間の臨床の蓄積を基礎的なデータとして、目前の症例をじっくりと観察し、彼らが生きる周囲の状況を調査し、充分な時間をかけて徹底的に検討することが可能であると考えられるからである。
 精神医学は、臨床に始まって臨床に終わる。現在陥っている精神医学研究の困難な状況を突破するには、精神医学の原点に帰り、新しい精神医学を構築していかなければならない。すなわち、臨床の現場で患者と向き合いながら、精神症状や経過を再検討し、先入見なしに精神障害を分類し、特徴的な精神疾患をあぶり出す地道な作業が必要である。その上で、それぞれの疾患ごとに研究を進めていくことによって、精神医学の新しい展開が期待されよう。まず、最初に行なわれるのは、精神障害の精神病理学的な研究であり、臨床遺伝学的研究である。続いて、生物学的研究として、画像診断学的研究(CT、MRI、SPECTなど)と精神生理学的研究(EEGなど)が行われる。このような研究とともに、効果的な予防と治療、及び社会生活支援の方法が考えられなければならない。
 豊郷臨床精神医学研究所が、これらの研究成果によって、日本における精神医学・医療の今後の発展に寄与することを願うものである。
 林 拓二(豊郷病院顧問)

事業概要

 臨床精神医学研究所では、豊郷病院精神科開設(昭和32年)以来のカルテを整理し、6500名に及ぶ外来および入院患者の記録をまとめる作業を行っており、これらは当院倫理委員会の承認を得て「内因性精神病の長期経過と転帰に関する研究」として継続されている。また、看護師および作業療法士による精神障害者の社会生活支援に関する研究は、身近な臨床的問題をテーマにして行われ、毎年の看護研究会で発表している。
 教育・啓蒙活動としては、「看護と医師のためのやさしい精神医学講座」など各種講演会の講師を引き受け、毎年、年初には精神科各領域の専門家を招いて「新春学術講演会」を開催しており、看護・医師はもとより作業療法士、薬剤師などの多くの職員が、病院内外から参加している。
 さらに、司法精神医学領域で精神鑑定なども積極的に引き受けていて、これらの成果は、毎年10月発行の年報に掲載されている。

研究者

 研究メンバーは、豊郷病院精神科に所属する精神科医師・看護師・臨床心理士・精神保健福祉士・作業療法士であり、滋賀医大精神科及び京都大学精神科の教授を顧問としている。

臨床精神医学研究所 年報

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2016年9月1日現在